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2006年2月26日 (日)

ミサイルのひもであります。

世の中にはひもが付いたミサイルがあります。
所謂、有線誘導ミサイルです。
有線誘導は射手側で誘導するので、ミサイル側に
高価な誘導装置が要らないことや、妨害が難しいと
いった利点があります。

ただ誘導に使われるワイヤーは技術的には大変
難しい代物です。何しろ高速で飛翔するミサイルに
引っ張られていくものですから、それなりの強度を持ち
かつ軽量で、収納性を高めるためには極細のもので
なくてはなりません。
79式対戦車誘導弾に使われるワイヤーでは、下手に
扱うと指を切ってしまいそうな細いワイヤーが使われて
います。このワイヤーは習志野にある鈴木金属工業と
いう会社が製造していますが、日本製のワイヤーは
大変出来が良く、一時は米国からも注目された
そうです。

有線誘導ミサイルでいま一番の注目株は光ファイバーで
誘導する方式でしょう。
MPMS(96式多目的誘導弾)はミサイルの先端に赤外線
画像シーカーを持ち、光ファイバーを通して射手に目標
画像を送ります。
このミサイルは発射重量が60Kgを超えるという大型の
ミサイルで、戦車だけでなく固定目標や舟艇などを攻撃
します。

Type96_mpms01m






この光ファーバー経由の赤外線画像誘導方式は、目標
までの画像が射手に送られてくるため、戦場の様子を
把握できるという利点の他に、既に撃破した目標を記録
して、撃滅目標のマップを作れるという副次的な利点を
もたらしました。
撃破された戦車というと、炎上していたりとか砲塔が
吹っ飛んでいるとか想像しがちですが、HEAT弾頭が
命中すると、戦車は一見余りダメージを受けてないように
見受けられますが、実は機能は損失しているという
場合があります。その場合は、既に機能を
失った戦車に対して攻撃を加えてしまうことが予想
されます。そのため、既に撃破した戦車には画面上で
マーキングをしておいて、無駄弾を撃たないように
なっています。

MPMSも当初は発射されると光ファイバーが切れたりして
開発には手間取ったそうですが、世界で最初の実用化
された光ファイバー誘導ミサイルとして、各国から注目を
集めています。

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2006年2月25日 (土)

ミサイルのまと(3)であります。

しつこく、ミサイルのまとを続けます。
今回は空対艦ミサイル用のまとです。

空自の使用する空対艦ミサイルは2種類あります。
一つはアクティブ・レーダー誘導のASM-1、もう一つは
赤外線画像誘導のASM-2です。
ASM-1はレーダーの反射波に向かって飛翔しますから、
標的も単純にレーダーを反射してくれるものを洋上に
設置すればよいことになります。
実際には廃艦を用いるか、巨大なレーダー反射体を
やぐらの上に載せたブイを使用します。
どちらも洋上で動かないようにアンカー等を用いて
設錨しますが、これがノウハウの塊だそうで、
某社さんが一手に引き受けてます。

ASM-2の場合は話は複雑です。
何しろ赤外線画像誘導なので、標的が赤外線を発生
しなければなりません。
そのため、廃艦を用いた場合は船体へ電熱パネルが
設置されました。
実用試験の際は、遠隔操縦可能な小型船に巨大な
赤外線放熱ドームを載せたものを使用しました。
赤外線もただ熱ければ良いのではなく、ある一定放熱
量の範囲に入らなければなりません。
これはIRCM(赤外線妨害)を排除するためです。
この標的の場合は海面温度+15℃±5℃の範囲を保つ
ようになっています。
この標的へASM-2が一発発射されましたが、結果は
外れ、原因は。。。これは伏せておきましょう(w

空自ではこれらの対艦ミサイルの専用標的として、
水上自走標的を技本開発しました。

Traas_targetsys

(製造会社さんのWEBから黙って拝借しました。)



これは海洋汚染防止の観点から、アルコールを用いた
ガスタービンエンジンにより15ノット以上の速度を発揮し、
赤外線放熱ドームとレーダー反射体を搭載したもので
無線指令により、遠隔操船が可能なものです。
これにより、ASM-2の実射訓練が可能になりました。
将来ASMであるXASM-3にはどんな標的が用いられる
んでしょうかねぇ。

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2006年2月24日 (金)

ミサイルのまと(2)であります。

空対空ミサイルのまととして、曳航標的とターゲット
ドローンがあることは前回お話しましたが、今回は
ターゲットドローンのお話を。

ターゲットドローンはJ/AQM-1という制式名称で富士
重工にて製造されています。F-15DJやF-4EJ戦闘機の
パイロンに吊り下げられて空中で発進するもので、
航続時間は15分程になります。

ドローンは使い捨てなので、コストが重要です。
そのため単純な構造が用いられ、電子機器も航空機用
の特別なものではなく、自動車用のものを流用する
などして、調達単価を抑えています。
それでも1機当たり何千万円もしますが。。。。。

発進母機のコクピット内には、操作パネルと
指令パネルがあり、操作パネルでは、
電源供給、エンジン始動等を行ないます。
飛行制御はプリ・プログラムですが、指令パネル
の操作によってUHF無線機から、コマンドが発信
され、左右360度旋回や翼端に取付けられた赤外線
放射装置の発火などの指示を出せます。

日本のような狭い空域でドローンのような無人機を
扱うためには、十分な安全措置が必要になります。
J/AQM-1には2つの緊急指令廃棄があり、一つは
EMER1で、これを指令するとエンジンが停止して
ら旋操舵により、強制的に海没させます。
もう一つがEMER2で、これにより操舵翼を火薬
カートリッジにより、操舵して墜落させます。

J/AQM-1によって、回避行動を取る目標への
実射訓練ができるようになったばかりか、ミサイルの
開発へも大きく貢献することになりました。
XAAM-4やXAAM-5の開発ではミサイルの特性に
併せたターゲットドローンが特別に発注され、
開発成果の評価に多大な貢献をしています。
XAAM-4の実射試験では、J/AQM-1改の他に
ASM-2に射撃評価装置を搭載した巡航ミサイル
模擬標的も使われており、AAM-4改の実射試験用
としても、既に発注されています。

なお、J/AQM-1の廉価版として空対空小型標的が
技本開発されることになりました。これにより、
さらなる訓練の効率化が図られるでしょう。

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2006年2月23日 (木)

ミサイルのまとであります。

ミサイルの実射に必要なものの一つに、ミサイルの
まと(ターゲット)があります。
空自が使っている空対空ミサイルのターゲットには
曳航標的とターゲットドローンがあります。
曳航標的はAIM-9LやAAM-3に使われる赤外線誘導
ミサイル用と電波誘導ミサイル用が存在します。
赤外線誘導ミサイル標的はNPT-IR-1と呼ばれるもの
で、4器の赤外線フレア装置が取り付けられており、
曳航母機のAM無線機からトーン信号を受信して発火
するようになっています。

曳航標的は母機が危険だと思われるのですが、曳航に
用いられる曳航索は28,000FT(約8,000㍍)もあり、且つ
発射されるミサイルの最大飛翔距離付近を標的が
曳航されるように配慮されてますので、全く危険は
ありません。また曳航標的に対する実射は新米の
パイロットが行うことが多いのですが、実射訓練の場合
はベテランパイロットがレーダーで確認するような配慮
が為されていることもあって、今まで事故はありません。

AIM-9Lのような赤外線誘導ミサイルは目標に近づけば
近づくほどシグネチャが強くなることもあって、非常に
命中精度が高く、標的をミサイルのカナードで真っ二つ
に割ってしまうということが度々あったそうです。
XAAM-4の実射試験でも曳航標的に文字通り直撃して
しまったことがあったそうですが、XAAM-4のような
電波誘導ミサイルが小さな曳航標的を直撃してしまう
(しかもXバンドのRCSを極力低減させた基準標的)
のは驚異的で、その誘導精度は米国からも注目
されています。

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2006年2月21日 (火)

ミサイルもしもし機能であります。

対艦ミサイルが同時に複数発射されると、最も近い
目標か、最もシグネチャが大きな目標へ集中して
しまいます。ミサイルが同時に複数発射させるのは
相手の対応能力を飽和させてしまうためですが、一つ
の目標へ集中してしまっては、意味がありません。

SSM-1(88式地対艦誘導弾ではそれを防ぐために
手の込んだアルゴリズムが実装されているのですが
詳細は良く分かりません。確率論を応用したもの
と伝えられています。

この問題解決の一つの方法がミサイルもしもし機能
(ミサイル間通信機能)で、この機能を持った代表的な
ミサイルにロシアのSS-N-19シップレック対艦ミサイル
があります。

Granit_1





このミサイルは発射重量約7㌧、全長約20㍍という巨大
な超音速対艦ミサイルですが、同時に複数発射されると
1機がリーダー機となって、高い高度を飛行し、他は
レーダーに捕捉されないように低高度を飛行します。
リーダー機が目標を捉えると、記憶されたデータベース
と照合し、目標重要度を判断して、他のミサイルに
目標を指示するという非常に凝ったことをします。

さてさて、この機能。日本の某ミサイルにも実装されて
いるという話があります。勿論、公開されている資料
にはそんな話はありません。ただこの機能を持っている
となると、このミサイルのターゲッチングに関する疑問が
解けてくるような気がします。

本年度、米国の射場で実射試験を予定しているSSM-1改
には先に発射されたミサイルが後発のミサイルが来るのを
待って目標に同時に突っ込む同時弾着機能があります。
SSM-1改にはミサイルもしもし機能が実装されているの
かもしれません。

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2006年2月20日 (月)

Warheadであります。

訳あって、ASM-2(93式空対艦誘導弾)を調べていますが
このミサイルはF-2の主力兵装であり、わざわざ自走標的
を開発する程、空自は惚れ込んでいるミサイルなのですが
このミサイルはLOVA性能向上型弾頭を採用したことも
画期的です。

LOVAとはLow Vulenerabilityの略で低脆弱性と訳され
煮ようが焼こうが落っことそうが、信管が作動しない
限り爆発しない弾頭を意味します。
これは元々、ベトナム戦争等において空母艦上で
誘爆事故を経験した米海軍が熱心だったのですが、
LOVA性の向上により、兵器の安全基準が緩和されて
貯蔵できるエリアが広がるのも大きなメリットです。

実際にASM-2の弾頭では、地上滑走ロケットで構造物
にブチ当てるスレッド試験や真ん中にドナー弾頭、
その両脇にアクセプター弾頭を置いて、アクセプターを
爆発させる殉爆試験、軽油がぐらぐら燃えている真上
に弾頭を吊るす熱感度試験等が実際に行われています。

勿論、爆発する時にはきちんと爆発しなければなり
ません。ASM-2の弾頭は焼い材が付加された徹甲
りゅう弾で、爆風とりゅう弾破片による破壊と共に
爆発と同時に焼い材を飛散させ、目標艦内を焼き
尽くすようになっています。
ASM-2が目標の廃艦標的に命中したのを試験船から
見た方にお話をお聞きしましたが、それは凄まじい光景
だったそうです。撃たれる側にはなりたくないですね(w

開発中のXASM-3では、以上の要素に加えてマッハ3で
目標に突入するため、弾頭にも高い強度が要求された
高貫徹型弾頭が研究されています。

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2006年2月19日 (日)

イージスであります。

FCS-3を今度書いてみようと思っているのですが、中々良い
資料がないですね。
手元に開発時の要求項目とかあるのですが、殆どが□で
内容が殆どないです。

FCS-3は単独で構成されるものではなく、ACDS(先進指揮
統制システム)などと組み合わされて、初めてウェポンシステム
として纏まるものですから、その辺りが全て一塊になっている
イージスシステムと異なるところです。

イージスシステムで余り触れられないのは、イージスでは
指揮統制と武器管制が完全に分離
されているということ
ですね。

従来のシステムだと捜索レーダーの目標情報はCDSへ
送られ、そこで脅威評価が行われてから目標情報を
FCSへ移管するのですが、イージスでは広域捜索レーダー
であるSPY-1から指揮統制システムであるMk2と武器管制
システムであるMk8の双方へ目標データが送られます。

Mk2の中には判断基準や処理要領などを定めたドクトリンが
データベース化されており、その時最も有効なドクトリンを
呼び出してそれに沿ってMk8へ指示を与えます。
Mk8は目標発見時から精追尾(武器管制諸元が得られる
精度)目標情報がSPY-1からデジタルインターフェイス経由
で入ってきており、発射指示さえ受ければ、直ぐに目標に
対して最適な兵器を指向できることになります。

この構成とドクトリンがイージスシステムの肝であり、
そう簡単に真似のできないものです。世界各国で
ミニイージスと呼ばれるものが出てきていますが、
イージスの地位が揺ぎ無いのはその辺りに
要因があります。

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KTであります。

遅ればせながら、映画「KT」を観る。

KT事件は1970年の話、今から35年前、終戦から25年後。
まだまだ戦後を引きずっていた時代の話ですね。
主人公は陸幕第二部調査別班の防衛大1期生の3佐。
調査別室は大韓航空機撃墜事件や印パ戦争、
林彪クーデター未遂事件、ミグ25亡命事件等
で度々マスコミに登場しているので、結構知られているが、
別班は全く知られていない。

この機関は比較的オープンな自衛隊でも全く謎の部隊で
あるんですけど、座間にいる第500軍事情報大隊(500MI)の
手足となって活動しているとの話があります。

さて、映画の感想ですけど、ポリティカル・サスペンスとして
結構面白かったです。
日本ではこういう映画は中々出てこないんですけど、今後も
期待したいですね。

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