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2006年3月26日 (日)

AH-Xであります。

先日、西湘バイパスを走っていると見慣れないヘリが
上空でホバリングしているのを見掛けました。
一瞬のことだったので、何とも言えないのですが、あれは
AH-64Dだったように思います。先日、初飛行を実施した
AH-64DJPだったのでしょうか。
Gn2006013004


AH-Xでは3機種が候補になりました。富士重工がAH-64D、
三菱重工のAH-1Z、川崎重工のOH-1改です。
OH-1改はペーパープラン機ですが、96式MPMS
を8発積む攻撃型が提案されていたようです。
OH-1改はペーパープラン機だったので、AH-X商戦は
実質的にAH-64D vs AH-1Zの2機種の争いとなってます。

さてさて、元々富士重工はベル社と関係が深いメーカー
です。AH-1Sのライセンス国産を担当していた富士重工が
なぜ、AH-1Zを担がずにAH-64Dを担いだのでしょうか。
それは、このAH-Xが穿った見方をするとかなりできレース
に近いものだったからでしょう。
陸幕、特に運用サイドは最初からAH-64D以外は眼中に
無かったのです。AH-64Dの導入によって、遅れていた
陸自のRMA化の起爆剤になると思ったのでしょう。
AH-64DのAN/APG-78レーダー装備型は戦場でレーダー
を一度スィープすると、その情報をIDM(先進データモデム)
で味方へ情報を配信することが可能です。

またAH-1Zは米海兵隊が配備を決定したばかりで
実績が極めて乏しく、RFP(Request For Proposal)の回答
もAH-64DとAH-1Zでは書類の量が全く違ったと言います。

AH-64Dのロングボウシステムですが、三菱電機が
ライセンス国産するようです。当初は、輸入のうえで機体
メーカーへ官給という話だったのですが、FY16契約から
ライセンス国産へ切り替えられます。国産化率は低いと
思うのですが、業界的には良かったと思います。

今後、AH-64Dとペアを組むOH-1ですが、どうなるので
しょうか。実は以前、技本へお邪魔した時に武装化の
研究に関する資料を偶々見てしまったことがあります。
OH-1が空対空兵装(91式携SAM)を除いて非武装化
されたのは、武装・観測ヘリとなることによってRAH-66
コマンチが売り込まれるのを懸念したからだったとの
話は機体メーカー筋から聞いています。
RAH-66が開発中止になった今日、OH-1の武装化は
もはや制約が無くなりましたので、武装化に関する
話が出てきてもおかしくありませんが、AH-64Dが
極度の金食い虫である以上(主力戦闘機並みとの
話すらある)難しいかもしれません。
OH-1の未来は意外と明るくないのかもしれません。

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2006年3月19日 (日)

LOALであります。

最近、制式化された04式空対空誘導弾(AAM-5)はAAM-3
と比べると、実に6倍の最大前方射程を有しています。
大きさ的には殆ど変わらないAAM-3とAAM-5のこの射程
の違いは何に起因するかと言えば、AAM-5はLOALが
できるのです。
LOALとはLock On After Launchの略で、日本語では
発射後ロックオンと訳されます。また、AAM-3やAIM-9L
等はLOBL(Lock On Before Launch)発射前ロックオン
方式となっています。

LOBLではミサイルをロックオンしてから、ミサイルを
発射します。従って、ミサイルの最大射程はシーカーの
ロックオンレンジを超えることはありません。シーカーの
ロックオンレンジが10Kmであれば、ミサイルが20Kmの
距離を飛翔できたとしても、最大射程は10Kmでしか
ありません。
ところが、LOALではミサイルの最大射程はミサイルの
シーカーのロックオンレンジに左右されません、ミサイルの
最大射程は最大飛翔距離となります。

LOALでは、発射前に発射母機から目標の位置データ
だけを受け取って発射されます。このデータの受け渡し
にはMIL-STD-1553Bのようなデジタルデータバスが
使われます。AIM-120やAAM-4,AAM-5にデータバスが
必須なのはそのためです。
発射されたミサイルは慣性データを元に飛翔を続けます。
AIM-7やAIM-9は電波や赤外線などのシグネチャを
受け取って飛翔しますが、LOALでは慣性データに基づき
最もエネルギー損失が少ない飛翔を行います。
慣性航法に使われる慣性航法装置はAAM-4やAAM-5では
FOG(光ファイバージャイロ)が使われています。

さて、目標の航空機は3次元で飛行するため当初の予測
コースから大きくずれることが予想されます。AIM-120や
AAM-4ではそのために、目標位置のアップデートのための
指令送信を行います。AIM-120ではFCSレーダーから
レーダー波に重畳されて、AAM-4では専用の指令送信装置
(J/ARG-1)から、レーダープレート上のAIFFインテロゲート
(空対空質問)アンテナを経て送信されます。
AAM-4の指令送信波は秘匿性に優れた特殊な電波を
用いています。

母機の指令送信による慣性データのアップデートを受け
ながら、目標へ近づくと終末誘導はミサイルのアクティブ
レーダーシーカーによる自立誘導モードへ入ります。
この距離は大体20Km程度と言われています。ミサイルが
自立誘導へ入ったら、発射母機との縁はおさらばです。

このようにLOALは大幅な射程の延伸をもたらします。
AIM-7より大分小さなAIM-120がAIM-7以上の長い
射程を誇るのはLOALができるお陰です。
LOALが可能なミサイルはAAMのみならず、AGM-114L
のような対戦車ミサイルにも存在しており、目標の
位置データさえ貰えれば、相手に自分を晒すことなく
ミサイルを発射できます。
今後、LOALができるミサイルはますます増えていく
でしょう。

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2006年3月15日 (水)

機関けん銃であります。

GUN関連は好きなのですが、専門では無いので適当に
聞き流してください(w

実は自分はなぜか機関けん銃と縁がありました。
仕事で入間基地内の航空開発実験集団を訪れた際
どかどかと集団で機関けん銃を持った一団が部屋に
入ってきました。
殴りこみではなく、実用試験が行われていた真っ最中で
試験を終えて戻って来たのでした。
試験を取り仕切っていた1尉殿は以前から存知上げて
いた方だったので、色々とお話しすることができました。
実用試験は陸自と合同で、海自は参加しなかった
ようです。
当時の機関けん銃はまだ木製のグリップを使っており
今時木製グリップかよなどと、他の隊員からからかわれて
いたのを思い出します。

その出来事の前の話ですが、六本木時代の空幕装備部
へ仕事でお邪魔したところ(当時は一般人も平気で空幕内
を行き来していたんですねぇ)、何気なく机の上を見ると
機関けん銃の予算要求資料が置かれていました。
内容としては、PKO任務に従事する輸送機のパイロットや
ロードマスターの自衛用として調達が要求されていました。
機関けん銃を最初に調達要求したのは空自だと言われて
ますので、これが最初の調達要求だったのかもしれません。

これはその後の話だったと思うのですが、技本で色々と
ご指導を頂いた某幹部殿が機関けん銃の開発を担当
された方で、色々と面白いお話をお聞きすることができ
ました。何でも製造会社で開発を担当された方は初老の
技術者で、殆どこの方一人が携わられたとのことです。

機関けん銃は市井のガンマニアからは、余り評判が
宜しくないとのことですが、実際に射撃した方によると
これが意外なほど良く当たるそうです。
また、これはあくまでも拳銃の一種であって短機関銃
ではないことに留意すべきでしょう。
SIG P220ではイマイチ不安だから持っていくという
装備です。

価格が高いのは難点ですが、これは特別割掛費
(製造設備などの初度費用を一定の調達個数に
割掛けた費用、例えば1000万円の初度費用が製造
メーカーに掛かったとして、それを100丁に割り掛ければ
1丁あたり10万円が計上される)が償却できれば多少は
値段は下がるでしょうが、現在の調達数だと償却できない
でしょうね。実質、メーカーの持ち出しです。

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2006年3月 9日 (木)

1984年の偽メール事件であります。

世の中は民主党の偽メール事件で大揺れでありますが、
今を去ること約20年前、日本を震撼させた偽電報が
あったことは意外と知られていません。
(以下の話は軍事アナリストの小川和久氏著
「在日米軍」からであり、私が実際に官の人から
聞いた訳ではありません。真実としても真相が
明かされるのは遠い未来になるでしょう。)


1984年8月15日午後4時頃、在日米空軍の第6920電子
保安大隊はウラジオストックにあるソ連太平洋艦隊司令部
から発信された一通の暗号電文を傍受した。その内容は
「極東地域において、これから米軍と戦闘状態に入る」
というものです。当然、米軍は非常警戒態勢へ入ります。
同じ頃、自衛隊も同様に暗号電文を傍受し、米軍の情報
を併せて、緊急警戒態勢へ入ります。

さてさて、ここからが民主党と米軍の対応が異なるところ
です。米軍はあらゆる情報収集手段を講じてこの情報の
真偽を確かめます。そして約10分後、この電文は何らかの
間違いか、謀略の可能性が高いとの結論に達します。
そして傍受から約30分後、「先の命令を解除する」との
電文を再び傍受し、この危機は終わりを告げました。
もし、この電文が本物であると判断したら、今の我々の
生活は無かったかもしれません。

これと似たような事が1976年に起こっています。
Mig25亡命事件です。この亡命があったとき実は日米が
最も心配したのが、これは本当の亡命なのか、それとも
ソ連お得意の謀略の一種かということでした。
これに対して日米の情報当局は同機が行方不明機と
して至急電で消息確認が行われており、その混乱振り
からこれは本物の亡命であるとの結論を出して、
事件に対応しています。

そういえば、自分と仕事場で机を並べていた空幕OBの方が
Mig25の調査に携われたそうで、色々と面白い
話を聞かせて頂いたのを記憶しています。
コクピットに座ったとか、何とも羨ましいご経験を
されたそうですが、特にその簡素な計器類に驚いたそうです。
Mig25の調査の際にはUSAFからミグ屋と呼ばれるソ連機
専門の調査チームも来日していますね。
彼らのプロフェッショナル振りにも感動したそうです。
 

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2006年3月 8日 (水)

ミサイル発射であります。(短距離空対空ミサイル)

標的、ランチャーと来ましたので、今度は実際に
ミサイルを撃ってしまいましょう。

F-15J/DJのMSIP機でSRM(AIM-9 or AAM-3)を
発射します。

まず、ウェポンスイッチをSRMへ選択します。
そしてシーカーを冷却します。これは少なくても発射
25秒前には開始しなくてはなりません。
SRMではレーダーが目標をトラックするかしないかにより
発射手順が異なります。

レーダーがトラックしていない場合は、ミサイルのシーカー
ヘッドはボアサイト方向を向き、シーカーは静止又は
ニューテーション(軸をふらつかせる)状態です。
パイロットはHUDのFOV(Field of View)サークル中心に
目標が来るように機体を操縦します。
SCANボタンを押すとセルフサーチにより、空間を捜索
しますのでFOVサークルが大きく広がります。
ですから、通常はSCANモードを使います。
ミサイルが目標をロックオンすれば、セルフトラック
しますので、FOVサークルが消えてASE(Allowable
Steering Error)サークル及びステアリングドットが
出るとともミサイルトーンが変化します。
後はステアリングドットをASEサークル内に保持します。

レーダーがトラックしている場合はASEサ-クル中心に
ステアリングドットが来るように機体を保持します。
目標が最小発射距離(Rmix)と最大発射距離(Rmax)の
間の距離の場合はIN RANGEとの表示が出ます。
シュートキューが表示されれば、ミサイルは発射可能
です。但し、雲やノイズ等がある場合にはミサイルの
シーカーをアンケージ(解放)してロックオンさせる方が
良いでしょう。
ウェポンリリースボタンを押せば、ミサイルは発射されると
同時にVTRが作動します。

裏技としてSRM発射信号を供給している間にウェポン
選択ボタンをMRMにするとSRMとMRMの2発のミサイル
がリップル発射されます。(FLOODモードの場合)

なお、ミサイルの発射の順番は左外、右外、左内、右内の
順番です。パイロットが発射したい順番を選択したい場合
はミサイルリジェクトスイッチによって、発射したくない
ミサイルを拒否して次の順番のミサイルへ移行します。

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2006年3月 1日 (水)

ミサイルランチャであります。

ミサイルはそのままでは撃てません。
発射するための装置、ランチャが必要になります。

空対空ミサイルのランチャには2種類あります。
一つはレール式、もう一つは射出式です。
前者の代表的ランチャには空自のF-15J/DJに塔載
されているLAU-114やF-2に塔載されているCRL
ランチャ等があります。
後者の代表的なランチャには、F-15J/DJに塔載
されているLAU-106Aがあります。
レール式は主としてAIM-9LやAAM-3等の軽量級の
短距離ミサイルに使われ、射出式は主としてAIM-7系や
AAM-4等の重量級の中距離ミサイル等に用いられます。

レール式ランチャではランチャ前方のノーズカバーを
外して、ミサイルのラグをランチャのレールに嵌めこんで
後方へ挿入し、ラッチで固定されます。
ランチャの後方にはストライカポイントという鋭利な突起が
突き出しており、それがミサイルの電極に食い込むように
なっています。
ミサイルが発射される際は、ラッチが開放され、パワー
サプライから大電流がストライカポイントを通じて流れて
ロケットモーターへ点火されて発射されます。
ミサイルが発射されると、ランチャのレールを傷めます
ので、必用に応じてレールを交換します。
なお、F-2のCRLランチャはレールを交換することにより
様々なミサイルを塔載することが可能です。

射出式ではミサイルのラグをランチャのラッチによって
固定します。射出はインパルスカートリッジによって、
ピストンを高圧で突き出して射出されます。
AIM-7やAAM-4の場合は、この際にモーター
ファイアリングケーブルを引っ張りながら落下してゆき
機体から一定の距離で点火します。これはミサイルの
ブラストを母機が吸い込むことを避けるためです。
実際にミサイルのブラストを発射母機が吸い込んで
エンジンが停止し、ベイルアウトした事故が米海軍で
起こっています。なおAIM-120ではこのケーブルは
使用しません。

空自の飛行教導隊のF-15DJにはAIM-120塔載改修が
施されたものがあるのですが、その機体はSRMランチャ
がLAU-114から、LAU-128へ替わっています。
LAU-128はAIM-120の発射能力がありますので、
当該の機体はLAU-106Aの分も併せて、AIM-120を
合計8発搭載可能となっています。
LAU-128はMIL-STD-1553Bへ対応しており、慣性データ
をAIM-120へインターフェイスすることができるのですが、
同じく慣性データをやり取りするAAM-5とは相性が
良さそうです。現状のLAU-114は度重なる改修で既に
アンビリカルコネクターのピンアサインを使い切っており、
XAAM-5の塔載改修では、パイロン内へスイッチボックス
を塔載することによって対応しています。
量産改修では、この際LAU-128へ換装してしまうのも
一つの手ですが、LAU-128に対して日本独自のミサイル
であるAAM-3の塔載改修を施さねばならないため、
難しいようです。

AAM-4はアンビリカルのインターフェイスをAIM-120と
併せてあるため、AIM-120塔載改修が施されたランチャへ
塔載することが可能です。この塔載改修が施された
LAU-106AはLAU-106A/Aとなります。
AAM-4/AIM-120用のアンビリカルコネクタはAIM-7用の
ものよりも小型で、AIM-7用のアンビリカルコネクタも
残してあるため、LAU-106A/Aには2つのアンビリカル
コネクタがあります。ミサイルの種類によってどちらかを
選択しますが、2つのコネクタはシーソーのようになって
おり、使う方を外へ突き出す形になります。
ミサイルとの接続はシェアウェハーという上下にコネクター
が付いた板を使います。

ランチャというのは地味な装備ですが、これが無いと
ミサイルが発射できないものであり、今後は機体の
ステルス化等に対応して、様々な形へと進化して
いくことでしょう。

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