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2010年12月10日 (金)

96式多目的誘導弾システムの話であります。

ご無沙汰しております。

世の中、騒がしいですが早速話題に入りますhappy01

日本で開発・生産されたミサイルの中で、個人的に一番
面白いと思っているのが、実は96式多目的誘導弾システムなのです。

以前の資料を読み返してみると、結構発見があったりします。
例えばこんな記述です。

「(イ)対舟艇 波高2m以下で10ktで直進及び横行する目標(目標の形状は、LCM(6mW x 21mL x 5mHとする)に対し、次のSSHPを有するものとする。 (ウ)その他の目標 対舟艇と同等の条件下で、掃海艇、ACVに対しても(イ)と同等のSSHPを 有するものとする。」

ACV(エアクッション艇)が入っているのはわかるのですが、
掃海艇まで目標として考えられているのは驚きです。
上陸作戦の前には必要に応じて、上陸海域の掃海が
行われますから、掃海艇を沈められれば、相手の上陸作戦
を遅延せしめられるかもしれません。

96式MPMSで特徴的なのは、何台もの車両にて火力単位を
構成することです。(下図参照)

Iz1996p4301_029

96式多目的誘導弾システム制式要綱より。

以下にそれぞれの車両の役割について記述します。

(1)情報処理装置

  • 普通科連隊火力調整所、自隊観測員等から得た目標情報の集中管理
  • 射撃指揮装置に対する射撃目標等の配分・送信
  • 自隊の展開位置、交戦状況等の部隊現況の把握

(2)射撃指揮装置

  • 地上誘導装置、発射機及び自隊観測員の統制
  • 自隊、情報処理装置から得た目標情報の集中管理
  • 地上誘導装置に対する射撃命令・号令の作成・送信
  • 地上誘導装置の展開位置、交戦状況の把握
  • 地上誘導装置の画面のモニタ・記録・再生

(3)地上誘導装置

  • 射撃統制及び誘導、照準誘導統制を行う。
  • 誘導装置画面の記録・再生及び射撃指揮装置への送信。

(4)発射機

  • 誘導弾6発を挿入した誘導弾マガジンを1基搭載。
  • 誘導弾マガジン単位で装填する機能を有する。

(5)装てん機

  • 誘導弾マガジンを4個積載して運搬し、発射機に却下する。

何かこの構成を見て、思い出しませんでしょうか。そう、88式
地対艦誘導弾の構成とそっくりなのです。以下にそれを記します。

                                                                                                                                                                                                                                                                       

構  成  装  置

       
         

数 量

       
         

誘  導  弾

       
         

  実弾(又は演習弾)

       
         

96発

       
         

地 上 装 置

       
         

  捜索標定レーダ装置(JTPS-P15)

       
         

 6組

       
         

  中継装置(JMRC-R5)

       
         

12基

       
         

  指揮統制装置

       
         

 1基

       
         

  射撃統制装置(JTSQ-W5)

       
         

 4基

       
         

  発  射  機

       
         

16基

       
         

  装 て ん 機

       
         

16基

       
         

  擬  製  機

       
         

所要量

レーダーと中継装置を自隊観測員と置き換えれば、まさに
そのままの構成です。

96式MPMSは戦車やその他の陸上目標を狙うというよりも
LCMや、ACVなどの揚陸手段を狙うのがその主たる目的で
しょう。遠距離で且つ動く目標を撃破するためには、
上部司令部と直結した情報処理能力を持ったプラットフォーム
であることが重要になってきます。

そして、もう一つ96式MPMSには他者にはない優秀な能力が
あります。それは次回ということで(◎´∀`)ノ

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コメント

そんな事より戦車と火砲の定数が・・・

投稿: | 2010年12月11日 (土) 17時00分

何故89式の後継如きがこんなに大がかりなシステムに・・・と思っていましたが、なるほど興味深いお話ですね。

投稿: | 2010年12月12日 (日) 15時07分

発射機に対して装填機材の数が多く無いですか?装填機材は他の事にも使えるのかな?

投稿: | 2010年12月15日 (水) 17時29分

初めてコメントします。
根拠はないのですが、対空用にも使える・・・なんて夢見たいな機能なんでしょうか?

投稿: ぴよた | 2010年12月16日 (木) 11時26分

「LCMやACV等の揚陸手段を狙うのがその主たる目的。」
是非、第15旅団にも配備して欲しい装備ですね。

投稿: 元海洋少年団員 | 2010年12月17日 (金) 02時03分

ほぼ同規模の大きさのNLOS-LSが40kmという射程であったことを考えれば、それなりの射程を備えてると思うのですが、「LCMやACV等の揚陸手段を狙うのがその主たる目的。」といわれると炸薬の占める部分が大きいのかなとも思う。

投稿: リュート | 2010年12月17日 (金) 13時47分

陸と海をかけ回る車の開発が始まり
大パワーエンジンの研究開発が命ぜられた
とかなんとか

投稿: ナオ | 2010年12月17日 (金) 15時15分

このミサイルの誘導方式である光ファイバー有線方式ですが
高速で繰り出される光りファーバーを絡まず、切れずにキレイに繰り出すのは非常に困難だったそうですね。
当時、いち早く実用化された技術だそうで、制式化されてから各国から見学に来たと聞いたことがあります。

投稿: | 2010年12月20日 (月) 23時00分

>LCMや、ACVなどの揚陸手段を狙うのがその主たる目的
炸薬量が多いのはこれが理由ですか・・・
「旧来のATMの後継ではなく全く新しい装備」ということの意味がやっとわかりました
次期大綱でもSSMは増勢のようですし、この手の対着上陸装備は今後強化されるのでしょうか
個人的にはMLRSのクラスター弾頭が廃棄されたことも絡んでいる気がしますが・・・

投稿: 2S19 | 2010年12月24日 (金) 23時35分

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