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2018年3月11日 (日)

ASM-2(B)改善弾の仕様書を読んでみたであります(その2)

前回の続きです。

2. 93式空対艦誘導弾(B)の技術要求事項について(空幕技1第12号15.1.31)

航空自衛隊仕様書ASM-2の技術改善に基づいて試改修を
実施し、その成果を持って、空幕の技術部より装備部に対して
技術要求事項が発せられます。
この技術要求事項が、量産品の
仕様書のベースになるわけです。

この技術要求事項にはASM-2の技術改善には無かった文言が
出てきます。以下の文章です。

個別構造

誘導装置は赤外線ドーム及び誘導装置胴体の内部に
ジンバル組み立て、
イメージャ、イメージャ制御器及び
信号処理装置を収納し、後端に慣性
装置を搭載した
構造とする。誘導装置胴体内部にクールボトルの装着

できる構造、画像テレメータ装置を搭載できる構造
及び誘導装置胴体の上面にGPSアンテナの搭載が
できる構造とする。また、
慣性装置内部にGPSを
装着できる構造とする。

誘導部胴体は、内部にオートパイロット電子装置、高度計、
電池等を
搭載し、指令受信装置を装着できる構造とする。

また、この2つの部品番号(P/N)も判明しています。

画像テレメータ装置 71A00532-101

指令受信装置    71A00533-101


この2つが噂されていたASM-2 D/L(Data Link)に繋がるも
のでしょうか。可能性としては以下が考えられると思います。
  画像テレメータの用途の推測
  1. 発射母機へ画像を伝送し、パイロットが目標の命中点を指示する。
  2. 発射母機へ画像を伝送して記録し、BDA(爆撃損害評価)に使用する。
  3. 発射母機へ画像を伝送して記録し、訓練や試験時の評価に使用する。

  指令受信装置の用途の推測
  1. 上記1と同じ、命中点指示コマンドの受信
  2. UTDC(Up To Date Commands)の受信
  3. 目標情報やウェイポイントの変更コマンドの受信
  4. 訓練時等で緊急飛翔停止コマンドの受信
1の説を取りたいところですが、仕様書上はそのような文言は
見受けられません。これについては今後も継続的に調査を
行うつもりです。
# 部品番号が連番ということからこの2つは一体の装置かも
# しれません。だとすると上記1の可能性もあるかもしれません。


また、この文書では一つ発見がありました。それは弾頭の
要求性能において、明確に二重船殻(ダブルハル)を貫徹
する要求があることです。

要求性能として、貫徹鋼板板厚が以下のとおり定められています

外板 □mm、内板 □mm

外板、内板間の間隔は□とする。撃速□m/s以上


最後に搭載するGPSは官給品となっています。
調達実績等を見ると、FMSでGPSを調達していますが、これらの
一部がASM-2(B)用として官給されているのでしょう。

次回に続きます。

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2018年3月10日 (土)

ASM-2(B)改善弾の仕様書を読んでみたであります(その1)。

ご無沙汰しております( ̄▽ ̄)

Twitter上では既に述べておりますが、今回去る筋から
情報公開請求で入手したASM-2(B)改善弾の仕様書を
閲覧させて頂く機会を得ました。
貴重な機会をご提供頂いた御仁に感謝を申し上げます。

ASM-2は自分にとっても大変思い出深い装備で、微力
ながら開発のお手伝いをさせて頂き、また官民問わず
多くの方からご指導を頂きました。ASM-2の開発に
携わった官側のご担当者は、その後AAM-4/AAM-5の
開発でもご一緒させて頂いております。

今回閲覧させて頂いた資料は以下のとおりです。

  1. 航空自衛隊仕様書ASM-2の技術改善(4補LPS-X02556)
  2. 93式空対艦誘導弾(B)の技術要求事項について(空幕技1第12号15.1.31)
  3. 93式空対艦誘導弾(B)仕様書(CP-Y-0067L)
  4. ASM-2Bの技術改善に関する技術要求事項について(空幕技第300号20.9.18)
  5. 93式空対艦誘導弾(B)に対する技術要求事項(空幕技第141号23.6.28)
  6. 93式空対艦誘導弾(B)仕様書(CP-Y-0067M)

流れとしては、1でASM-2の運用の柔軟性向上と取得経費
削減を目的に技術改善を実施し、その成果を持って空幕の
技術部から2の技術要求事項が発せられ、3の
93式空対艦誘導弾(B)仕様書となり、ソフトウェアの改修を
目的に4の技術要求事項が技術部内で発せられ、その
内容で5の技術要求事項が技術部から装備部に通達され、
6の仕様書となってます。
上記の文書で、ASM-2→ASM-2(B)→ASM-2(B)改善弾への
流れが把握できたことになります。
それでは、内容の確認に参りましょう。

1. 航空自衛隊仕様書ASM-2の技術改善

<改善部分>
  1. 誘導装置の改修
  2. 慣性装置の更新
  3. GPS受信機の追加
  4. オートパイロット電子装置の更新
  5. 誘導部胴体の改修
  • 誘導装置の改修
    管制装置及びオートパイロットの更新に伴う改修
  • 慣性装置の更新
    センサ方式を機械式ジャイロから光学式ジャイロへ変更
    GPS受信機を追加し、自己位置を更新可能とする。
  • オートパイロット電子装置の更新
    演算補償計算機能に関してアナログ方式からデジタル
    方式へ変更
上記により明らかになったことは、GPS機能の追加とジャイロを
機械式から光学式(リングレーザージャイロ)への更新が同時に
要求されたということが判明しました。
特にこのジャイロの更新はコストダウンに結びつくものです。

またオートパイロット電子装置のデジタル化はGPS搭載に伴う
ことだと予想できます。またオートパイロット電子装置については
以下のようなことが要求されています。

将来発展性

オートパイロット電子装置は、多方向からの目標を攻撃できる
飛しょうパターンを設定するための初期値(目標の位置情報等)
を入力できるものとする。


このASM-2の技術改善で得られた成果を持って、ASM-2(B)へと
発展することになります。

続きは後ほど(^^;;

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